大人の恋は波乱だらけ!?

「……桜木……飲みすぎじゃないか?」

「そんな事ないですよ?」


何杯目か分からないカルーアミルクを口に運んでいれば高梨部長は心配そうに私を見つめてくる。
あまり酔わない体質なのかお酒が強いのかは分からないが何杯でも飲む事が出来る。
それに顔にも出ないし。

酔ったといえばあの時くらいかな……。
頭に浮かんだのはココで昴さんと飲んだ時の事だ。


「桜木?」

「え?あっ!何でもないです!!」


笑顔を浮かべながらブンブンと首を横に振る。
高梨部長と一緒にいるんだから昴さんの事は忘れよう。
自分に言い聞かせながらグラスに手を伸ばせばその手はゆっくり高梨部長に掴まれる。


「……あまり無防備に飲むな」

「え……?」

「俺だって男だ。
好きな女が隣にいて何もしないほど出来た男じゃない」


そ、それって……。
何となく意味が分かり一気に顔が熱くなっていく。

顔だけではなく体まで熱を帯びているのは気のせいなんかじゃない。
ドクンドクンと高鳴る鼓動、彼に見つめられる度にそれは速まっていくのが分かる。


「やっと想いを伝えられたんだ。
尚更……我慢が出来なくなる。
だから……俺に隙を見せないでくれ」


熱い瞳で見つめられると思わず言ってしまいそうになる。
『貴方になら何をされてもいい』と。
私だってずっと好きだった。
繋がる事はないと思っていたからこそ嬉しさだって大きい。

でも……。
まだ心の準備が出来ていない。

そう思うも口は動かずただ彼を見つめる事しか出来なかった。


「……悪い……。少し頭を冷やしてくる」


高梨部長は無理やり作った笑顔を浮かべると早足で外へと出て行ってしまう。


「……」


1人になった私は熱くなった頬を両手で包み込んだ。

高梨部長が好き。
その想いがどんどん膨らんで抑えきれなくなっていく。

もう恋人同士なのだから抑える必要もないかもしれない。
思うがままに彼の胸に飛び込んでもいいかもしれない。

でも……。
今が幸せすぎて、これ以上に何かを望んだら全て醒めてしまいそうで……。

まるで夢だったかのように……。