大人の恋は波乱だらけ！？

「ごめんなさい私……。
高梨部長に甘えていたんです」

「え？」


高梨部長に嘘を吐くなんて嫌で全部を正直に話そうと決意をしながら口を開いた。


「高梨部長はいつも私の味方になってくれました。
何不自由なく私が思った通りのゲームを作れるように沢山の配慮をしてくれました。
今回、初めて高梨部長に反対されて……気が付いたんです。
私はいつも高梨部長に甘えてばかりで自分1人では何も出来ないんだって。
そう思ったら……悔しくて、情けなくて……」


言葉に詰まり彼の腕の中で顔を俯かせれば急に体から温もりが消えていく。
驚いていれば更に驚く様な言葉が高梨部長から発せられた。


「ちょっと待ってくれ！
俺は反対なんかしてないぞ？」


混乱気味に高梨部長を見つめる。
話が噛み合わずお互いに首を傾げる。


「え？
でも……『やる必要はない』って……」


私がそう言えば高梨部長は納得した様に『そういう事か』と苦笑い気味にタメ息を漏らした。
1人状況が呑み込めずにオロオロとしていれば高梨部長はフッと笑みを零し何かの資料を差し出した。
戸惑いながらもその紙に目を通す。
その瞬間、パッと目を見開いてしまった。


「こ……これって……」


その紙には30代女性への質問、それに対する答えが書いてあった。
正に私がやろうとしていた事だ。

じゃあ……高梨部長の『やる必要がない』っていう言葉は……。


「俺も驚いたよ。
桜木も俺と同じことを考えてたなんて」


高梨部長の優しい言葉に乾いたはずの目から涙が溢れ出てきた。
それを止めようと手を目に伸ばそうとすれば、その手は優しく掴まれる。