「どうしたんだよ?」
使われていない会議室に高梨部長の声が落とされた。
彼の方を見ることが出来ず俯きがちになってしまう。
静かな空間に消えていく声に空虚感を感じながら私はそっと首を横に振る。
「いえ……何でもないんです」
「何でもない訳ないだろう!」
怒鳴り声に促される様に顔を上げれば、哀しそうに歪む高梨部長の顔が目に映った。
何でそんな顔をしているのだろうか。
ズキリと痛む胸を隠しながら高梨部長を見つめる。
「あの……」
「俺じゃ駄目なのか……?」
「え?」
今にも消えそうな声に思わず聞き返せば今度は会議室に響き渡る様な声で返される。
「俺じゃお前の力にはなれないのかよ!」
高梨部長の悲痛の叫びが私の胸に突き刺さった。
力になれていないのは私の方だ。
それなのに……。
「高梨ぶ……」
「お前には涙なんて似合わない。
お前が苦しむ姿なんて……見たくないんだよ」
言葉と同時に私は彼に抱きしめられていた。
鼻を掠めるシトラスの香りが私の鼓動をおかしくさせる。
ああ、私はやっぱり彼が好きなんだ。
この温もりも、香りも、全部大好きだ……。
使われていない会議室に高梨部長の声が落とされた。
彼の方を見ることが出来ず俯きがちになってしまう。
静かな空間に消えていく声に空虚感を感じながら私はそっと首を横に振る。
「いえ……何でもないんです」
「何でもない訳ないだろう!」
怒鳴り声に促される様に顔を上げれば、哀しそうに歪む高梨部長の顔が目に映った。
何でそんな顔をしているのだろうか。
ズキリと痛む胸を隠しながら高梨部長を見つめる。
「あの……」
「俺じゃ駄目なのか……?」
「え?」
今にも消えそうな声に思わず聞き返せば今度は会議室に響き渡る様な声で返される。
「俺じゃお前の力にはなれないのかよ!」
高梨部長の悲痛の叫びが私の胸に突き刺さった。
力になれていないのは私の方だ。
それなのに……。
「高梨ぶ……」
「お前には涙なんて似合わない。
お前が苦しむ姿なんて……見たくないんだよ」
言葉と同時に私は彼に抱きしめられていた。
鼻を掠めるシトラスの香りが私の鼓動をおかしくさせる。
ああ、私はやっぱり彼が好きなんだ。
この温もりも、香りも、全部大好きだ……。

