大人の恋は波乱だらけ！？

「日常は仕事や普段の私生活、馴染みのあるものだ。
非日常は……例えば……やりたくても出来ない事、とかな。
まあお前が言った不倫とかも入るんじゃないか？」


昴さんはニヤリと笑うとシナリオに目を向ける。


「まずはターゲット層を意識する事。
相手がどういう生活を送っていて何を求めているかを明確にする。
その為には相手を理解する、知り尽くす事が大切だ」

「相手を知り尽くす……」

「ああ、敵を知らずに作戦は練れない」


スラスラと連ねられた言葉はすんなりと胸へと入っていく。
彼が言っている事は小説を書く時にも商品を作る時にも通じる事がある。

昴さんがいう“ターゲット”と“相手”は今回は30代女性だ。
つまり30代女性の事を知らないと話にならない、と彼は言っているんだ。

小説を書くときには意識していたし、知っていたはずなのに……忘れていた。
【大人の恋愛】という慣れないモノに惑わされて本来やるべき事を見失っていたんだ。


「昴さん……ありがとうございます」

「は？」

「……いえ！」


彼といると忘れていた大切な事を思い出せる。


「私！頑張ります！」

「……」


昴さんは照れた様に顔を背けると自分が書いた2つの円に目を向けた。
そして円と円が重なる部分に斜線を書き始める。


「ココが消費者が求めているモノだ。1度よく考えてみろ」

「……はい！」


昴さんからシナリオを受け取り笑顔を向けた。

実際にゲーム完成に以下づいた訳ではないけど……。
心が軽くなった気がする。
1歩ずつだけど確実に前に進んでいる。