大人の恋は波乱だらけ！？

「昴さん」

「あ？なんだよ？」


目を細めて笑う昴さんは雰囲気まで柔らかくていつもの何倍も格好良く見えた。
こうやって笑っていた方が素敵なのに。
その想いが胸に広がり、それを正直に伝える事にした。


「いつもの爽やかな笑顔も素敵だけど……。
私はこっちの……本当の昴さんの笑顔の方が大好きです」

「……っ……」


少しの間の後、さっきまで柔らかかった昴さんの顔が一瞬で固まる。
でも徐々に紅く染まる彼の顔、照れているのがすぐに分かった。
可愛くてつい笑えば昴さんは大きな手で自分の顔を覆う様に隠した。


「お前な……いきなりそういう事を……」


照れる彼からはいつもの俺様の昴さんはすっかりと消え去っていた。


「……おい」

「はい」

「生意気な事を言ってると協力してやんねぇぞ」

「え……？」


話を逸らしたいのか咳払いをしながら真顔を作る昴さん。
でも顔はまだ紅いままで、真顔を作り切れていなかった。
可愛い、そう思ったが突っ込む事はしなかった。


「【大人の恋愛】」


短く答える彼に私は思わずバンと机を叩き身を乗り出してしまう。


「教えてくれるんですか！？」

「……そういう約束だろう？」


昴さんは笑顔を浮かべるとご飯を食べ始める。
嬉しくて涙が溢れそうになるが我慢をしながら笑顔を作った。


「ありがとうございます！」

「……」


昴さんは何も言わなかったけど、口元は緩んでいて優しさが伝わってきた。