大人の恋は波乱だらけ!?

「ど……どうですか?」


2人で向かい合わせでご飯を食べながら昴さんの顔を見つめる。
無表情だけど箸が進んでいるから不味くはないはず。
そう思いながら彼の答えを待っていれば、ハンバーグしか目に入っていなかった昴さんは漸く私の顔を見た。


「ハンバーグを不味く作る方が難しいんじゃねぇか?」

「なっ……!!」


それだけ言うと昴さんはまたハンバーグへと視線を戻す。
ムカつく、その言葉は何とか呑み込んだものの怒りがおさまらない。
お互いに無言で食事を続けていれば『おい』と低い声が飛んでくる。


「何か喋れよ」

「はい?そんな事言われても……」


困っていれば『ちっ』と舌打ちを返される。
何なのよ……。
文句1つ言えずに黙り込んでいれば彼はバンッと音を立てて箸を置いた。


「す……昴さん……?」

「何なんだよお前は……」

「な……何がですか……」


何処からどう見ても彼は怒っている。
それは分かるのだが怒る理由が分からない。
どっちかというと私の方がムカついているんだけど……。
そう思いながらも昴さんを見れば“訳が分からない”という顔をしている。

いやいや、訳が分からないのはこっちだから、心の中で文句を言いながらジッと耐える。
【大人の恋愛】を教えて貰う為に今まで彼の横暴を我慢してきた。
協力して貰う身だからあまり彼に強く言えないし……。
彼の気分を害してしまえば協力どころか家を追い出されてしまうのではないかそんな恐怖が私を縛り付けていた。
そもそも、誰かに意見を言う勇気もないけど……。
口を閉ざしていれば昴さんの鋭い目つきが私を捕えた。


「喋れって言ってるんだよ」


低い声が突き刺さり泣きたい衝動が私を襲ってくる。
さっきまでの幸せ気分が一気に冷めていく。