大人の恋は波乱だらけ!?

「あ……あの……!」


戸惑う私に高梨部長はクスリと笑みを浮かべた。
優しいその笑顔は裏表がない綺麗な笑顔で、それ以上何も言えなくなってしまう。

街灯とお店の明かりが真っ暗な世界に光を灯している。
静かな空間で私と高梨部長は黙ったまま見つめ合っていた。


「俺の用事はお前を家まで送り届ける事だよ」


フワリと緩むその笑顔にトクリと胸が鳴る。
こんな素敵な笑顔は反則だ、心でそう呟きながら熱を帯びる頬を冷ます様に軽く頭を振るう。


「そ……そんな申し訳ないです!」


上司に送ってもらうなんて駄目だ。
必死に断るが高梨部長は受け入れてくれなかった。


「俺がお前を送りたいんだ。……駄目か……?」


困った様に眉を下げる高梨部長に胸がズキンと痛んだ。

これ以上、断るのも返って失礼になるのでは……。
そう思い、高梨部長を見上げる。


「あの……お言葉に甘えてもいいですか……?」


恐る恐る口を開けば、さっきまで困っていた顔つきが一気に笑顔へと変わる。
そして、握られていた手に力が加わった。


「良かった!
じゃあ行こう、車は会社の駐車場に止めてあるんだ」

「……はい」


優しく笑う彼につられて、私の顔も緩んでいく。

高梨部長といると凄く落ち着く……。
心が温まるのを感じながら高梨部長の隣を歩いた。