大人の恋は波乱だらけ！？

「……な……何ですかこれは……！？」


私の目の前には見慣れたアパートが建っている。
ここは間違いなく私の家だ。

なぜ今朝まで普通に部屋にあった私の家具たちが外に運び出されているのだろうか。
引越屋のトラックに積み込まれる私の荷物を呆然と眺めていれば、1人の男の人が昴さんへと駆け寄ってきた。


「新條さん！」

「あ……中山さん！
すみません、突然こんなお願いをして……」

「いいんですよ！
新條さんにはいつもお世話になっておりますから！」


人当たりが良い笑顔を浮かべる中山さんと爽やかな笑顔で対応する昴さん。
あの爽やかキャラは女性だけではなくて男性にもやっているんだ……。
少し驚きながらも2人を見つめていれば、男性が私に笑顔を向けてくれる。


「貴方が桜木さんですね！」

「あ……はい！この声……お電話の……」


聞き覚えのある声だと思ったら、さっき昴さんのスマホから聞こえてきた声と同じだった。
昴さんって色々な人と繋がりがあるんだな……。
まあ、偽りの姿で得たものだけど……。
でも、昴さんの人脈の広さは凄いと思う。
尊敬しちゃうな、そう思いながら中山さんに頭を下げる。


「すみません、急に荷物を運んでいただいて……」

「気にしないで下さい！新條さんとの新生活、頑張ってくださいね！」


それだけ言うと中山さんは走って私の部屋へと戻って行く。

電話で荷物を運び出すとは言っていたが……。
こんなに早くやるとは思わなかった……。
驚きを隠せない私とは対称的に、さも当たり前だと言わんばかりの昴さん。


「さて、僕たちは大家さんの所に行こう」

「……え？」

「いいからいいから、何処に住んでいるの？」

「こ……このアパートの1号室ですけど……」

「じゃあ行こう」


戸惑う私を無視しながら爽やかな笑顔からは想像も出来ないほど強い力で引っ張られる。