「彼女って言う名前だけだ。
別にお前にそんな風に振る舞えなんて求めないから安心しろ。
お前が誰を好きだろうが付き合おうが俺には関係ねぇ」
そう言い放つ彼はどこか冷たくて声を掛けるのを戸惑ってしまう。
黙ったまま彼を見つめていれば『だが』と口が開かれた。
「新條さん?」
「俺の事は下の名前で呼べ」
「……へ?」
「名前の方が自然だからだ。
もしお前と居る時に女と会っても妹だとか親戚だとか誤魔化せるからな」
一瞬でその光景が頭に浮かぶ。
新條さんの言い振りじゃあ何人の女性と繋がりがあるかは分からない。
でも私が知る限りでも2人はいる。
だから新條さんと関わりがある女性と会う可能性はゼロではない。
そんな修羅場はごめんだし、彼のいう事を聞いておいた方が無難なのかもしれない。
「分かりました」
「……呼べよ」
「い……今ですか……?」
自分でも分かるくらい焦っていた。
男の人を名前で呼ぶなんて滅多にないもの。
友輝くらいじゃないか……。
あまり免疫がないせいか顔が紅くなっていく。
「……普段からだ。
お前の様子じゃあぶっつけ本番って訳にはいかなさそうだからな」
チラリと私を見ると小さく鼻を鳴らす新條さん。
絶対に馬鹿にしている。
内心ムカつきながらも言い返す事はしなかった。
ちゃんと呼んで見返してやる、そういった想いが私の中に膨らんでいたからだ。
グッと手を握りしめ彼の横顔を見つめて決心して口を開く。
別にお前にそんな風に振る舞えなんて求めないから安心しろ。
お前が誰を好きだろうが付き合おうが俺には関係ねぇ」
そう言い放つ彼はどこか冷たくて声を掛けるのを戸惑ってしまう。
黙ったまま彼を見つめていれば『だが』と口が開かれた。
「新條さん?」
「俺の事は下の名前で呼べ」
「……へ?」
「名前の方が自然だからだ。
もしお前と居る時に女と会っても妹だとか親戚だとか誤魔化せるからな」
一瞬でその光景が頭に浮かぶ。
新條さんの言い振りじゃあ何人の女性と繋がりがあるかは分からない。
でも私が知る限りでも2人はいる。
だから新條さんと関わりがある女性と会う可能性はゼロではない。
そんな修羅場はごめんだし、彼のいう事を聞いておいた方が無難なのかもしれない。
「分かりました」
「……呼べよ」
「い……今ですか……?」
自分でも分かるくらい焦っていた。
男の人を名前で呼ぶなんて滅多にないもの。
友輝くらいじゃないか……。
あまり免疫がないせいか顔が紅くなっていく。
「……普段からだ。
お前の様子じゃあぶっつけ本番って訳にはいかなさそうだからな」
チラリと私を見ると小さく鼻を鳴らす新條さん。
絶対に馬鹿にしている。
内心ムカつきながらも言い返す事はしなかった。
ちゃんと呼んで見返してやる、そういった想いが私の中に膨らんでいたからだ。
グッと手を握りしめ彼の横顔を見つめて決心して口を開く。

