「……」
何処に向かうかも分からないまま進む車。
私も新條さんも喋ろうとしないので静かな空間が広がっていた。
慣れない高級車に身を固めながら前を見つめていれば『おい』と低い声が聞こえてくる。
隣を向けば、ハンドルを握りながら不機嫌そうな顔をする新條さんが目に映った。
さっきまでの爽やかな雰囲気はすっかりと消え去っている。
「何ですか?」
「……何で何も喋らねぇんだよ」
「え?
だって何を話したらいいか分からないんですもん」
新條さんの事はまだよく知らないし……。
どんな会話をしたら良いか分からない。
そう思い口を閉ざしていれば新條さんは突然とガシガシと頭を掻き始める。
「何でもいいから話せ、落ち着かない」
「そ……そんな事言われても……」
話せと言われると余計に何を話したらいいか分からなくなる。
『んー』と頭を捻りながら考えていればフッとさっきの事が頭をよぎる。
「何で彼女なんて言ったんですか?」
「はあ!?」
予想外の事だったのか新條さんはスットンキョンな声を上げていた。
恥ずかしかったのか少し顔を紅めながら咳払いをする彼。
その姿が可愛くて、つい微笑んでしまう。
「……その方が何かと都合がいいからだ」
「都合?」
「ああ、爽やかキャラの男が彼女じゃない女と同棲してるなんて体裁が悪いだろう?
だから彼女の方が印象がいいんだよ」
「そんな勝手に……」
嘘だと言えども新條さんの彼女とは思われたくない。
女性を騙しているという云々の性格は置いとくとして……。
私は高梨部長の事が好きだもの。
彼の耳にはいる事はないと思うが、やはり気分が良いものではない。
それに人を騙しているのも気が引けるし……。
何処に向かうかも分からないまま進む車。
私も新條さんも喋ろうとしないので静かな空間が広がっていた。
慣れない高級車に身を固めながら前を見つめていれば『おい』と低い声が聞こえてくる。
隣を向けば、ハンドルを握りながら不機嫌そうな顔をする新條さんが目に映った。
さっきまでの爽やかな雰囲気はすっかりと消え去っている。
「何ですか?」
「……何で何も喋らねぇんだよ」
「え?
だって何を話したらいいか分からないんですもん」
新條さんの事はまだよく知らないし……。
どんな会話をしたら良いか分からない。
そう思い口を閉ざしていれば新條さんは突然とガシガシと頭を掻き始める。
「何でもいいから話せ、落ち着かない」
「そ……そんな事言われても……」
話せと言われると余計に何を話したらいいか分からなくなる。
『んー』と頭を捻りながら考えていればフッとさっきの事が頭をよぎる。
「何で彼女なんて言ったんですか?」
「はあ!?」
予想外の事だったのか新條さんはスットンキョンな声を上げていた。
恥ずかしかったのか少し顔を紅めながら咳払いをする彼。
その姿が可愛くて、つい微笑んでしまう。
「……その方が何かと都合がいいからだ」
「都合?」
「ああ、爽やかキャラの男が彼女じゃない女と同棲してるなんて体裁が悪いだろう?
だから彼女の方が印象がいいんだよ」
「そんな勝手に……」
嘘だと言えども新條さんの彼女とは思われたくない。
女性を騙しているという云々の性格は置いとくとして……。
私は高梨部長の事が好きだもの。
彼の耳にはいる事はないと思うが、やはり気分が良いものではない。
それに人を騙しているのも気が引けるし……。

