大人の恋は波乱だらけ！？

「あんなに嫌がってたのに、安い挑発に乗るから可笑しくてな」


面白そうに笑う新條さんに私は呆然としてしまう。
挑発って事は……。


「わ……私をココに住まわせる為にワザとあんないい言い方をしたんですか！？」

「今頃気付いても遅い。
さっきの言葉を撤回する事は許さねぇからな」


ニヤッと笑うと新條さんは勝ち誇った様な表情を浮かべる。
やられた、何故もっと早く気付かなかったのだろうか。
やはり彼に常識なんて通用しない。
私はもう彼と一緒に住むと言う道しかなくなったという事だ。
覚悟は決めていたものの、初めからこうなる様に仕組まれていたと思うと気分が良いものではない。


「……分かってますよ」


不貞腐れた様に言えば、新條さんは鼻で笑いながらスマホをいじっていた。
何をしているかは分からないけどどこか楽しそうに見えるのは気のせいだろうか。


「あの……何してるんですか？」

「あ？ちょっと待ってろ」


スマホから顔を逸らす事なく言い放たれた言葉。
なんなのよ、顔くらい向けてくれてもいいじゃない。
そう思いながらもハッとした様に口を開く。


「あの！早速なんですけど【大人の恋愛】の……」

「あ？まだココに住んでもないのに教える訳ねぇだろ？」


新條さんの言う通りだけど、早くシナリオを描かなきゃいけないのに！


「……で……でも！ココに住むのだっていつになるか……」

「それなら問題ない」

「え？」


新條さんはニヤリと口元を緩めて『あった』と呟いていた。
何があったのだろうか？
疑問が浮かぶがそれは新條さんの行動によって晴らされる。


「もしもし、新條です」


誰かに電話を掛け始める新條さん。
誰かの電話番号を探していたのか……。