大人の恋は波乱だらけ！？

「時間もない、頼る奴もいない、大人の恋も分からない。
そんなお前が今から1人でゲームを作れるのか？」


勝ち誇った様な顔で私を見ながら新條さんはこっちへと歩いてくる。
私より遥かに高い身長の新條さんが真正面に立てば当然見下ろされる訳で……。
不敵な笑みで見下ろされると多少ムカつくが、彼の言っている事は正しすぎて何も言えない。


「……」

「まあ、俺はどっちでもいいけどな。
ゲームが出来なくても俺には関係ないし」


新條さんの言う通りだ。
彼には関係ない、それでも手伝うと言ってくれている。
こっちが向こうの条件を呑むことは当たり前だ。
当たり前だけど……。
流石に一緒に住むのは……。

私が答えない事に痺れを切らしたのか新條さんは面倒臭そうに頭を掻きながら私から離れていく。


「俺も忙がしいんだよ。
この条件を呑まないならさっさと帰れよ」


新條さんは寝室から出ていこうと扉に手を掛ける。
その瞬間、私の中で何かが弾けた。


「本当に協力してくれるんですか……？」

「ああ、約束する」


こっちを見る事なく扉と会話をする新條さん。
彼の表情は見えないが、声は真剣そのもので嘘には聞こえなかった。

男の人と一緒に住むのは正直に言って抵抗がある。
でもルームシェアだと思えば……。
いや、無理だ、冷静に考えれば2回この人に襲われそうになっているんだもの。

唯一、心が休まる家さえも緊張の場になったら私は耐えられないだろう。

でも……。
頭に浮かぶのは高梨部長の顔だった。


一緒に頑張るって決めたんだ。
私が1人で逃げ出すわけには行かない！
強く決意をして新條さんの方に目を向ける。