大人の恋は波乱だらけ!?

「好きでもない男に触れられて何照れてんだよ」

「ふ……普通は恥ずかしいです!」

「まあいいや。
っで?どうするんだよ?」


ニヤついた表情、でもそんな表情でも格好良い顔つきのせいか絵になっている。
思わず見惚れてしまいそうになるのを必死で我慢しながら彼をキッと睨む。


「住む訳ないじゃないですか!
何でほぼ知らない人と一緒に住まなきゃいけないんですか!!」

「ふーん……。
【大人の恋愛】を教えて欲しいんだろう?」

「そ……それは……。
でも一緒に住むなんて出来ません!
他の人に頼むので結構です!!」


彼の手を振り払い私はベッドを降りる。

なんなのよこの人は!
何処の誰が知らない男の人と一緒に暮らすなんて選択肢を選ぶのよ。


「そんな奴いるのかよ?
他にいないからほぼ知らない俺を頼ってきたんだろうが」

「……」


ピタリと止まる私の体。
その通り過ぎて何も言い返せないけど、だからって一緒に住む訳ないじゃない。
もっと常識を考えて……。
そう思ったが無駄だと直ぐに判断した。
この人に常識が通じたら苦労はしない、心の中で失礼な事を考えながらクルリと向きを変え新條さんを見つめる。


「確かにいません。
でも……貴方に頼った私が間違いだった気付きました」


言っている事は無茶苦茶で価値観も性格も合わない。
そんな人と同じ屋根の下で暮らすなんてまっぴらごめんだ。


「……口だけかよ」

「……はい?」

「『私が星輝の社員である限り、お客様の期待に応え続けるのが私の仕事なんです。
私が今出来る事は……貴方に頭を下げる事だけなんです』そう言ったのは口だけだったのかって聞いてんだよ」

「そんな訳……」

「だったら証明しろよ。
俺は条件付きで許可をしてやったんだ、そのチャンスを逃すなんて馬鹿げてるだろう」


新條さんが私を見ながら笑みを浮かべている。
含みのある顔、それはまるで私を試す様なものだった。