大人の恋は波乱だらけ！？

「ゲームを作る事が私の仕事です。
でも……いくら仕事の為だからって好きでもない人と関係を持つなんて間違っています。
そんな事……私はしない……絶対に！！」


ギュッと掌を握りしめて新條さんを見つめる。


「……訳分かんねぇ……」

「え……？」


困惑した様に顔を歪める新條さんに首を傾げる。
私は難しい事を言ったつもりはない、あくまでも常識の範囲内の事だろう。
なのに何で解けない謎を前にした様な顔をしているのだろうか？


「あの……新條さん……？」

「今までの女は……俺と関係を持つ事を喜んだ。
お前みたいに泣いた女なんて見た事ねぇよ！」

「は……はい？」

「家の鍵だって……渡したら躊躇なく部屋の中に入るだろうし、間違っても2時間半も家の前でなんて待たねぇよ！」

「……」


新條さんの言葉に呆然としていればいきなり私の体は勢いよく抱き起される。


「あっ……」


ベッドの上で新條さんと向き合って座る様な体勢になっていた。
両肩はガッシリと掴まれていて、哀しみに揺れる瞳が私を捕えて離してくれない。

何でそんなに哀しそうな顔をしているの？
口には出さなかったが、胸の中に疑問が広がっていく。


「お前と居ると変な気分になるんだよ。
訳の分からない感情が付き纏ってきて……どうしたらいいか分からなくなる」

「……新條さん……」


彼が何を言いたいかは分からない。
それに彼自身も分かっていないみたいだし、私に分かるはずもないけど……。
それでも……。


「……もし……私でお手伝いが出来る事があれば何でも言ってください」


彼の役に立ちたいと思う私は変わっているのだろうか。