大人の恋は波乱だらけ!?

「新條さん……何でこんな事……」

「俺は利益がない事はしないんでね。
こうすれば……お互いにメリットがあるだろう?
お前は俺に協力して貰えるし、俺は小説のアイディアを貰う」


そう言いながら新條さんは私に覆い被さってくる。
まるで逃がさないと言っているみたいに、私の両腕を頭上で纏めて押さえつけていた。
痛みに顔を歪めていれば新條さんは愉快そうに見下ろしていた。


「……暴れんなって」

「っ……止めてください!離してくださ……んっ!?」


無理やり口を塞がれ言葉を押し閉じ込められる。

重なっている私たちの唇が私の胸を痛めつける。

“キス”は好きな人とするもの。
それは私にとっては当たり前だった。

でも……。
この人は違う、誰とでもするんだ。

私とだって2回目で……。
バーでだって女の人としていた。

そんな事を考えていれば自然に涙が溢れ出てくる。
こんな事、間違っている。

キスだって、その先だって……。
やっぱりお互いの気持ちが大切だ。

それに、いくらゲームを作る為だからって体を差し出すなんてやり方私はしたくない。
こんなやり方で作ったゲームなんて誰も幸せに出来ない。


「やっ……」

「……っ……何なんだよっ……」


拒絶する様に体を捩じらせれば、新條さんは苛ついた様に私の手を解放した。
状況が把握出来ていないままベッドに寝転がっていれば新條さんは私を見ながら何かを考える様に黙り込んでしまった。
その顔は怒っていると言うよりは困惑をしているという感じのものだった。

さっきまでの何も映していない怖い顔は無くなっていて、本性だと思われる新條さんがそこにはいる。
その事もあり私を支配していた恐怖はすっかりと消え去っていた。