「彼女をクビなんかにさせない!!」
「……」
「貴方は忘れたんですか……?
自分が何故この会社を立ち上げたのか……」
高梨部長の声が僅かに震えているのが分かる。
その声は哀しみを表していて聞いているだけで涙が出そうになる。
彼は今何を思っているのだろうか。
今……どんな顔をしているのだろうか。
そう考えるだけで胸が苦しくなる。
「ただ純粋に誰かの笑顔が見たかったんでしょう!?
なのに……今は利益しか見ていない!
そんな貴方に……会社のトップにいる資格はない!」
「言いたい事はそれだけか?
なら出て行きなさい、それと彼女にはなんとしてでもシナリオを完成させる様に言うんだ」
社長の冷静な言葉はどこまでも冷たくて、2人の間には社長と社員だけでは表せないものがある気がした。
それが何かは分からないけど……私には計り知れないくらい深いモノだ。
「桜木には貴方が消し去ったものが全て詰まっています。
彼女はこの会社に必要な人間なんです」
「……そうか、そこまで私のやり方が気に入らないなら辞めてしまえ」
「それが出来たら……どれだけ楽なんだろうな……」
高梨部長は寂しそうに呟く。
「俺は……アンタがまた変わってくれると信じてたいんだよ……」
「……」
「失礼します」
高梨部長は深く頭を下げるとこっちに向かって歩いてくる。
やばい、そう思った時にはもう遅かった。
「桜木……」
「た……高梨部長……」
扉から出てきた高梨部長と目が合ってしまう。
盗み聞きしていた罪悪感から、今すぐ逃げ出したいという衝動に駆られる。
実際、私は走りだそうとした。
でも、それは出来なかった。
高梨部長に優しく手を掴まれたからだ。
「……」
「貴方は忘れたんですか……?
自分が何故この会社を立ち上げたのか……」
高梨部長の声が僅かに震えているのが分かる。
その声は哀しみを表していて聞いているだけで涙が出そうになる。
彼は今何を思っているのだろうか。
今……どんな顔をしているのだろうか。
そう考えるだけで胸が苦しくなる。
「ただ純粋に誰かの笑顔が見たかったんでしょう!?
なのに……今は利益しか見ていない!
そんな貴方に……会社のトップにいる資格はない!」
「言いたい事はそれだけか?
なら出て行きなさい、それと彼女にはなんとしてでもシナリオを完成させる様に言うんだ」
社長の冷静な言葉はどこまでも冷たくて、2人の間には社長と社員だけでは表せないものがある気がした。
それが何かは分からないけど……私には計り知れないくらい深いモノだ。
「桜木には貴方が消し去ったものが全て詰まっています。
彼女はこの会社に必要な人間なんです」
「……そうか、そこまで私のやり方が気に入らないなら辞めてしまえ」
「それが出来たら……どれだけ楽なんだろうな……」
高梨部長は寂しそうに呟く。
「俺は……アンタがまた変わってくれると信じてたいんだよ……」
「……」
「失礼します」
高梨部長は深く頭を下げるとこっちに向かって歩いてくる。
やばい、そう思った時にはもう遅かった。
「桜木……」
「た……高梨部長……」
扉から出てきた高梨部長と目が合ってしまう。
盗み聞きしていた罪悪感から、今すぐ逃げ出したいという衝動に駆られる。
実際、私は走りだそうとした。
でも、それは出来なかった。
高梨部長に優しく手を掴まれたからだ。

