ここは会議室……?
扉が少し開いていたのでコッソリと中を覗き込む。
そこには高梨部長と社長がいた。
どうしてこんな所に社長と高梨部長がいるの?
しかも……高梨部長は怒っているみたいだし……。
「……何でこんな勝手な事をするんですか!?
まだシナリオも完成してないんですよ!
来年の10月に発売なんて何を考えているんですか!?」
高梨部長の剣幕に驚きながらも私の頭は冷静に働いていた。
来年の10月に発売って……もしかして【大人の恋愛】ゲームの事?
疑問が確信に変わったのは社長の言葉だった。
「桜木君は今ノリに乗っているシナリオライターだ。
こういう時に色んな作品を次々と出すべきだ。
絶好の機会を逃すなんてあり得ないだろう?」
やっぱり私の事だったんだ……。
息を潜めながら社長と高梨部長のやり取りを盗み見る。
「……利益の為ですか?」
「そうだ、それ以外に何がある?」
「っ……桜木の作るゲームは会社の利益のための道具なんかじゃありません!!」
バンッと激しい音が響き渡る。
彼が机を叩いたのだろう、社長も驚いた様に呆然と高梨部長を見ていた。
勿論、私も驚いたけど……。
それよりも高梨部長の言葉が胸に突き刺さって泣きたい衝動に駆られる。
高梨部長が私の為に社長に怒ってくれている。
それが嬉しくて、嬉しくて……。
「高梨部長……」
震える唇で彼の名前を刻む。
小さくて誰にも届かない声は誰もいない廊下に静かに消えていく。
扉が少し開いていたのでコッソリと中を覗き込む。
そこには高梨部長と社長がいた。
どうしてこんな所に社長と高梨部長がいるの?
しかも……高梨部長は怒っているみたいだし……。
「……何でこんな勝手な事をするんですか!?
まだシナリオも完成してないんですよ!
来年の10月に発売なんて何を考えているんですか!?」
高梨部長の剣幕に驚きながらも私の頭は冷静に働いていた。
来年の10月に発売って……もしかして【大人の恋愛】ゲームの事?
疑問が確信に変わったのは社長の言葉だった。
「桜木君は今ノリに乗っているシナリオライターだ。
こういう時に色んな作品を次々と出すべきだ。
絶好の機会を逃すなんてあり得ないだろう?」
やっぱり私の事だったんだ……。
息を潜めながら社長と高梨部長のやり取りを盗み見る。
「……利益の為ですか?」
「そうだ、それ以外に何がある?」
「っ……桜木の作るゲームは会社の利益のための道具なんかじゃありません!!」
バンッと激しい音が響き渡る。
彼が机を叩いたのだろう、社長も驚いた様に呆然と高梨部長を見ていた。
勿論、私も驚いたけど……。
それよりも高梨部長の言葉が胸に突き刺さって泣きたい衝動に駆られる。
高梨部長が私の為に社長に怒ってくれている。
それが嬉しくて、嬉しくて……。
「高梨部長……」
震える唇で彼の名前を刻む。
小さくて誰にも届かない声は誰もいない廊下に静かに消えていく。

