大人の恋は波乱だらけ！？

「スバル～こっちこっち！！」

「あっ、アヤカさん。
お待たせしてしまってすみません」


高梨部長を待っていれば、遠くから甲高い声と優しそうな声が聞こえてくる。
ふと、そちらに目を向ければ綺麗な女の人と格好良い男の人がいた。
あの女の人……1時間くらい前からあそこに座ってなかったっけ？
おぼろげな記憶を辿りながら見ていれば男の人と目が合ってしまった。

整った顔がふわりと緩み笑顔になる。
高梨部長に引けを取らない容姿と笑顔にドクンと大きく胸が高鳴る。
でも、すぐに目を逸らした。

ビックリした……。
ドクンドクンと鳴り響く心臓を押さえながら、もう1度同じ方を向けば……。



「えっ……」


また目が合ってしまう。
いや、男の人は多分ずっとこっちを見ていたんだ。

理由は分からないけど、さっきの体勢から全く変わってないし。
顔に浮かべられている笑顔もさっきと同じもの。

黒い髪が爽やかな彼の笑顔を引き立てていて、目が離せない。
でも次の瞬間、その笑顔は全く別物へと変わっていた。

ニヤリと口角を引き上げただけの怪しい笑顔。
さっきの爽やかな笑顔とは比べ物にならないその不気味な笑顔が私を捕えて離さなかった。


「桜木？」

「スバル～」


2つの声が近くと遠くから聞こえる。

それと同時に私たちの視線は逸れていた。