「だーっ!違うし!八つ当たりじゃねーし!いつか絶対落としたるから!!見とけよー!」
恥ずかしいことをいきなり暴露されて、宮下が顔を赤くして憤慨する。
へえ、人って見かけによらねーな。
宮下も恋なんてするんだ。
しかも「落とす」って……… 自分のキャラわかってんのかな。
振られた宮下には申し訳ないけど、どうしても笑いをこらえることができなかった。
「……って先生笑ってるし!くっそー、お前ら覚えとけよー!!」
宮下はそう言い捨てると、そのまま全速力でロビーを去って行った。
「おい、ロビーを走るんじゃない」
だけど、学年主任にさっそく見つかって怒られてる。
ほんと期待裏切らねーな。
「元気な生徒さんですね」
学年主任に連れられてどんどん小さくなっていく宮下の後ろ姿をぼーっと見ていたら、
フロントスタッフの人が声をかけてきた。
「すみません、あいつうるさくて」
小学生みたいにうるさく走り回っていた宮下のことを言われて、なぜか自分のことのように恥ずかしい。

