さくらの花が舞う頃に



裕翔side



「あー、スキー楽しかったー!」



「早く風呂入ろうぜ!」



スキーから戻ってきた生徒たちが大声で騒ぎながら俺の前を通り過ぎていく。



学年主任に雑用頼まれてゲレンデに行けなかった俺としては、目の前で騒いでるこいつらが

すっげー羨ましい。



あー、俺もスキーやりたかったなー。




「え、先生スキーやれなかったんすか?えー、まじで!?

うっわー、かわいそー。まじかわいそー」



スキーウェアを着ていない俺を見て俺がスキーに行けなかったことがわかったのか、

たまたま俺の前を通った宮下が思いっきり嫌味を言ってきた。



「……うっせーな。別にいいし。俺寒いの嫌いだから」



高校生に嫌味言われてムキになって言い返す俺もまだまだガキだな。



そんな自分に心の中で苦笑していると、宮下の友達が笑いながら言った。



「先生すみませーん。こいつ、好きな子に振られて苛ついてるんですよー。

八つ当たりしてるだけなんで、大目に見てやってください」