「そのお礼が言いたくって、わざわざ呼び止めたの?」



「それだけじゃないよ!」



二人が焦ったように叫んだ。



「最初は大橋さんってなんか怖いな、って思ってたの。いつも一人でいるし、うちらともあんま関わろう

としないから、うちらに興味ないのかなーって思ってたんだけど………」



二人はちょっとためらう様子を見せてから、また話し出した。



「あのいじめ事件のとき、大橋さんの言葉を聞いてこの人は悪い人じゃない、きっと優しい人なんだって

直感的に思ったの。言葉を聞いただけでそんなこと思うなんて、ばかばかしいかもしれないけど……」



二人は照れたように笑いながら言った。