さくらの花が舞う頃に





小さく呼んだ私の声は、かすれていて蚊の鳴くようなほど小さかったけど、

しっかりと相手に届いたようだった。



「やっと見つけた………」



私を後ろから抱きしめている戸山くんが、耳元で小さくそうつぶやく。



「………遅くなってごめん。

でも……………………見つかってよかった……………」



「……………戸山くん………………っ!!」



その言葉を言われた瞬間、私は振り向いて、正面から思いっきり戸山くんに抱きついた。



ぐっと手に力を込めると、戸山くんもぎゅっと抱きしめ返してくれる。