駅前にある大きなさくらの木。 突如強い風が吹いて、その木から散ったさくらの花びらがひらひらと青い空の下を舞う。 さまざまな学校の制服を身にまとった生徒たちをすりぬけながら、 まるで計算していたかのように、1枚の花びらが一人の女子生徒の前に落ちた。 二重瞼の少し切れ長の目が花びらを捉える。 冷たい少女の横顔に、やがてふわりと微笑が広がった。 大橋さくら こう見えて、この物語のヒロインである。