「…じゃあ手、繋ぎたいから繋ぐ」

「っ、」


彼女は何も言わない。


でも暗闇でほんの少し、彼女の頭が頷いた気がした。


そっと垂れ下がっていた手をすくい上げ指を絡める。


「あー、もうっ、好きなんだけど。」


思わず漏れた本音に彼女は応えない。


その代わり繋がれた手の力がキュッと強まった。


彼女は知らない、言葉より行動の方が破壊力があることに


「知らねえ、俺もう我慢しないから」


グッと手を引くと、彼女は簡単に腕の中にスッポリ収まった。


ぎこちなく俺の背中に廻った腕が愛しすぎて彼女の耳元に唇を寄せ、小さく囁いた。

「俺のこと、好き?」

「…」


無言の彼女。


さすがにハードルが高すぎたな。


そろそろ限界だろうと抱き締めていた腕を緩めると、彼女がすがるように俺の頭を引き寄せ言った。