静寂。

ニチッ…と、粘っこい口が開く音がした。それと同時に、やはり粘っこい声が聞こえた。

「ソイツはなんだ?」

ゆっくりと、絡み付くような気味の悪いしゃがれ声。俺はうつぶせで意識が朦朧としていたけれども、その声から、いやらしい笑みを浮かべた痩せぎすの狒爺を想像せずにはいられなかった。

「は、はい…実は…」

さっきまで俺の体を痛め付けていた男達が話し始めた。どこか声が振るえている気がする。まあ無理も無い。殺しの現場を目撃された事が組長にバレたのだ。指一本か牢屋行きか…。どうせ俺は死ぬ。こいつらがどんな処罰を受けるか見てやるのも一興だ。

俺はうつぶせたままでニヤリと笑った。