ゴッ!!…ゴッ!!

鈍い骨導音が鼓膜を突き抜けていく。ああ、その音が怖い。何故なら、その音がするたびに、鋭い痛みが体のあちこちを襲うからだ。

次はどこから来るのだろう。腹か?足か?

奴らのいやらしく黒光りした革靴の爪先が、俺の体の至る所に容赦なく突き刺さってくる。

何故俺がこんな目に合わなければならないのか。俺はただ、ここを通ろうとしただけだ。ここが近道だったから通ろうとしただけだ。

そしたら、偶然そこに奴らがいただけだ。奴らと、奴らの足元にダラリと転がったハゲた中年の死体を見ただけだ。

俺は誰にも言わないと言ったんだ。警察にも言わない。家族にも言わない。言ったところで何か得があるか?そう言った。

だが、奴らは信じなかった。

俺は逃げようとしたけれども、あっさり捕まってこの様だ。