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「うわあ〜……!綺麗っ!」
祖母の家の近くを散策して見つけた海の青に心奪われ、私は足を止めた。
道路から砂浜に降り、ビーチサンダルを脱いで波打ち際まで行くと。
時々足に触れる水は冷たくて、気持ちよかった。
「家の近くにもこんなところがあったらいいのに!」
両手で水を掬いあげると、とても綺麗で、それだけで何だか楽しい気持ちになった。
それから毎日、海に行った。
毎日1人だったけど、それでも楽しかった。
だけど、その日。
その日だけは、違った。
私が海に行くと、誰かがいた。
私よりだいぶ背の高い男の子。
砂浜近くの階段の途中で止まった私は、その男の子の後ろ姿をじっと見ていた。
すると、男の子が偶然振り返って、目が合った。
漆黒の瞳は、とても綺麗で。
目を奪われた。
彼は、何も言わずに黙って見続けていた失礼な私に、にっこりと笑ってくれた。
「こっちにおいでよ」
その瞬間。
きっと私は、恋に落ちていたんだ。


