病院をあとにすると。 自然と涙がこぼれ落ちた。 気づけば私の足は、あの場所へと向かっていた。 あの、思い出の詰まった、海辺に。 「懐かしー…………」 10年前の同じ季節に。 私はあなたと出逢った。 漆黒の瞳がとても綺麗で、吸い込まれそうになったのを今でも覚えてる。 あれ以来。 私は、はっきり恋と呼べるものをしていない。 それほどに、あなたの存在は大きなものだった。 …………逢いたい。 「……颯くん……」