「颯くん。私もう、帰らなきゃいけない……」
腕時計に目をやると。父に告げられた出発時刻が迫っていた。
「……そっか」
寂しいけど、またいつでも逢える。
もう、あの頃とは違う。
私たちは、まだまだ繋がっていられる。
「…………凛乃ちゃん」
「凛乃って呼んで」
一瞬驚いた顔をした颯くんは、すぐに片手を頭に当て、項垂れた。
「困ったなあ……。すっかり女性になってんだから……」
「……ん?どういうこと?」
呼び捨てして欲しいという願望を口にしたら、ため息をつかれてしまって。
どうしていいか分からない。
「全く……。その顔、俺以外のやつに見せちゃ駄目だよ」
その顔って、どの顔?って、聞きたかったのに。その言葉は飲み込まざるを得なかった。
颯くんの唇が私の唇を塞ぎ、何も話せなくなる。
「……好きだよ。凛乃が。前よりずっと、もっと強く……」
同じことを思ってくれる彼がとても愛おしくて。
とまっていた涙がまた溢れ出した。
「…………迎えに来てくれてありがとう…………」
あなたに伝えたい言葉がたくさんある。
伝えたい思いが、たくさん……。
また逢おうね。
逢って色々な話をしようね。
この大好きな町で、ともに日々を過ごそうね。
2人で一緒に、成長していこうね。
いつだって思うのはあなたのことばかり。
大切なことは、この町と、あなたが教えてくれた。


