そしてまた君を好きになる






今にして思えば。出逢ったあの瞬間から、私は恋に落ちていたのかもしれない。



小学校も夏休みに入り、私たち一家は、祖母が1人で住んでいる母の実家に遊びに行くことになった。


それが全ての始まりだった。


私が住んでる町よりさらに田舎で、何もなかったけど。
自然いっぱいのあの町が、私はわりと好きだった。

思い出があり過ぎて。たった1ヶ月だったのに、もう随分と昔のことなのに、今でも胸に残るこの思いは、私には辛くて。
だんだんと近づかなくなってしまったけど。
思い出すあの風景はいつも優しくて、温かくて。


いつも思う。


あの頃に、戻りたい。



「……の!りーの……!……凛乃!」

少しずつはっきりと聞こえるようになった自分の名前に目を開けると。
真っ暗な中、母が私の顔を覗き込んでいた。

「やーっと、起きた。着いたわよー」

トランクに回り込み、荷物を取り出す母の言葉に辺りを見回すと。

暗い中、目に映し出された風景は、とても懐かしく。
昔と何1つ変わっていなくて、涙が出そうになった。

車から降り、少ない街灯の中、改めて周りを見る。


……帰って、来たんだなぁ……。


住んでいたことなど1度もないのに。訪ねたことも数えるほどしかないのに。
鮮明に私の思い出に残るこの町こそ、私のふるさとであるかのような気がした。


何かと理由をつけて、ここに来ることをずっと避けていた私が、高校3年の今になって再びこの地に訪れることになるなんて思いもしなかった。