「凛乃ちゃんが好きって」
…………っ!!
「俺といるのが心から楽しいとでもいうように笑ってくれて、あんなふうに、強い気持ちで俺を思ってくれてる凛乃ちゃんのことが好きなんだって」
私の目からはとうとう、我慢していた涙がこぼれ落ちた。
「凛乃ちゃんに、すぐにでもこの思いを伝えたかったけど、俺はもうすぐいなくなるし、凛乃ちゃんは帰ってしまう。離れ離れになってしまう。そう思ったら、悲しくて言えなかった……」
私の涙を拭いながら、颯くんは悲痛な表情を浮かべた。
「俺がもっと大人になって、しっかりしたら、そしてまた逢えたら、そのときは凛乃ちゃんに伝えようって思ったんだ。勝手だけど、それまで凛乃ちゃんに待ってて欲しいって……」
“いつか必ず、迎えに行くから”
“だから、待ってて”
あの頃の颯くんと今の颯くんが重なって見えた。
「凛乃ちゃん。俺は、今でも君が好きだよ。この10年、1度も君を忘れたことはなかった。もう2度と離したくない……!!」
あの頃と同じように、颯くんは私を抱きしめた。
だけど、あの頃よりずっと力強くて、私を引き寄せる腕はガッシリと逞しくて。
あの頃と違って、私は颯くんの腕の中にすっぽりと納まってしまう。
もう、男の子じゃなくて、男の人なんだと。
少年だった颯くんは、もうどこにもいないんだと強く思った。


