「…………颯くん…………」
誰よりも逢いたかった人。
ずっと待ち焦がれていた人。
漆黒の瞳が、私を見ていた。
すぐに分かった。
10年も前に、1ヶ月間だけ逢っただけなのに。
私の心が告げていた。
胸が熱くなった。
颯くんに、また逢えたんだって……。
「こんにちは。凛乃ちゃん」
出逢った頃と同じ優しい声で、出逢った頃よりずっと低くなった声で、颯くんは笑った。
「久しぶり。綺麗に、なったね……」
曖昧に微笑む颯くん。
「…………」
どうしてそんな顔をするの?って聞きたいのに、言葉が出てこない。
今にも涙が出そうで、喉の奥が、じりじりと熱い。
「凛乃ちゃん。俺の話、聞いてくれる?」
少し悲しそうに微笑む颯くんに私は頷くのがやっとだった。
変わった自称に少しドキリとした。


