「昨日の夜ご飯ってなんだっけ」
 ぽつりと出た言葉に自分で驚いた。そんなどうでもいいことをいまの状況で独り言として呟くにはどうにも場違いであったからだ。
 火薬の匂い、響き渡る歓声と怒号。
そう、まさに俺はいまいわゆる体育祭という学校行事の真っ只中なである。運動会ではなく体育祭だ。
 ちなみに、運動会と体育祭の違いを他の人は知っているだろうか?
一説では、運動会は地域や学校といった主催している側と参加する生徒や生徒の保護者が別れている場合であり、体育祭は生徒が主体となって運営して行うという違いがあるそうだ。つまりはまぁ、自分達でやるか先生方に任せるかみたいなものだな、うん。
などといってる間に俺の番がきた。
所々切れかけた白線の前に立ち、微かに香る火薬と目の前に広がる土埃に顔をしかめた。
嫌がったところでスタートの合図は鳴ってしまうのだ。