『ん、おいひい。』
ふわっと広がる甘い香りと果汁。
瑞々しくも上品な甘みのある桃に思わず頬が緩んだ。
消化の良い食べ物で胃がだいぶ慣れたのか気持ち悪くなる事は一切なく、私は夢中で桃を頬張った。
「ふっ、ゆっくり食べろ。
そんな急ぐと詰まらせるぞ。」
初めの感情のない私からは想像出来ないほど表情変化が現れてきたことに龍二は笑みをこぼした。
柔らかく、するすると喉を通っていく桃を詰まらせることなんてないと思いながら顔を上げると、あることに気づく。
『龍二、ご飯食べないの?』
平吾が私の桃と一緒に持ってきた龍二の食事に、龍二は全く手をつけていなかった。
私が聞くと微笑んで私を見ていた龍二ははっとして、
「・・・忘れてた。」
と、小さくつぶやいてご飯を食べ始めた。
『?』
様子のおかしい龍二に疑問を持ちながらも、無事桃を食べ終えることが出来た。
