全てをくれたあなたに


「お昼ご飯まで時間があるんだし、リハビリがてら部屋まで歩いてみたらいいわ。」




そんなに遠くもないし、と付け足す。





『龍二、いい?』




「・・・あぁ。だが、無理そうだったら抱えて行くからな。」





『ふふ、ありがとう龍二。』





少し拗ねたように言う龍二に笑みがこぼれる。





『夏希さん、ありがとう。』




「えぇ。気をつけてね。」






龍二の腕に掴まりながら、少しずつ足を運んだ。





途中で、大丈夫か、と龍二が何度か聞いてきたりしたが、ゆっくり時間をかけて何とか新しい部屋へとたどり着いた。





和風な作りに似合わないドアを開けると、木目の綺麗な薄茶色の家具が配置された部屋が現れた。





「気に入ったか?真白は白が苦手なようだから木の無難な色にしたんだが・・・」





『うん、とても気に入った。
自然なんて触れられなかったから木に囲まれた部屋は新鮮なの。』





心がむずむずして温かくなる。





自然と笑顔が溢れ、ありがとう、ともう一度お礼を言って龍二に抱き着いた。





龍二は驚いていたが、私の背中を優しく撫でた後、軽々と私を抱き上げた。