全てをくれたあなたに


龍二はそんな周りを気にせず歩みを進め、大きな屋敷の玄関へと足を踏み入れた。





「お帰りなさいませ、若。
組長夫妻はいつもの部屋においでです。」





玄関には銀司に少し似た男が立っていた。





「分かった。このまま向かう。」





龍二が短く返事をすると、男が静かに前を歩き出した。





その後ろに龍二、銀司と続く。






長い廊下を暫く歩き続けると、広い庭に面した襖の前で止まった。





「頭、若がおいでです。」





スッと無駄のない動作でしゃがみ、きりっとした声で言う男。






「あぁ、入れ。」






龍二に似た、低い声が聞こえてきた。