全てをくれたあなたに


「玄関に車を手配してあります、若。」




いつの間にか立ち直った銀司は眼鏡をかけて、きちっとした人格になっていた。




銀司が若と言ったこと、龍二の顔が引き締まった事を見て、銀司のこの姿は組での姿なのだろうと思った。





外に出るとフルスモークの真っ黒な車が止まっていた。




銀司はその車に躊躇いなく近寄り、後部座席のドアを開けた。




その対応が当たり前のように龍二は車に乗り込む。





『・・・こんにちは。』




サングラスをかけた運転手に挨拶をする。





「お疲れ様です、お嬢。」





お嬢?





聞きなれない言葉に疑問を持ったが、龍二が「出せ。」と言って車が走り出したので飲み込んだ。






窓から黒い膜がかかって見える景色を眺める。




大して景色が変わらないまま車は大きな門の前で止まった。