全てをくれたあなたに


私は言い終わると同時に残りの林檎を食べた。



その後はゼリーも完食した。





幾度も襲ってくる吐き気と戦いながら何とか食べ終え、苦しみで流れた涙の跡を凛が優しく拭う。






「よく頑張ったわ。この調子なら、1週間後には必ず退院出来るわ。
疲れたでしょう、今日はもう休みなさい。」





ぽんぽん、と優しく頭を叩くように撫でて凛は部屋から出て行った。





窓の外には月が姿を現していて、あの日あの場所から逃げてきた事が嘘のように思える。





「みー、みー」




『・・・ルナ。』





子猫特有の高い鳴き声を出しながら擦り寄ってくる小さな体。




この子のおかげで私は今ここにいる。




『ありがとうね、ルナ。』




そっと撫でているうちに眠ってしまったルナを見て微笑む。




その日、私は眠ることが出来なかった。




今までは眠らないのが当たり前だったのに、今日は夜が異様に長く感じた。