ふと机の上に目を向けると、干からびてカビたパンが皿に乗せられることもなくそのまま置いてあった。
誰かがわざとそれを置いたのか、それとも私がただ気付かなかっただけなのか。
どちらにせよ何かを食べる気力すら起きない私はフイ、と顔を背けて窓から見える夜空を眺めた。
しばらくそうしていると、外から誰かがこちらを見ていることに気付いた。
背の高い男だった。
ここは1階。
道路に面しているが、10m程離れているし、この道を通る人など滅多にいない。
不思議に思い、その人物をじっと見ていると、バチッと男と目が合った。
『っ』
思わず目をそらして姿勢を低くした。
