掠れてはいるものの、その透き通るような綺麗な声に俺は聞き入った。




「あ、ありがとう・・・ございます」





今まで無だった瞳に少しの光が宿り、ほんの少し、顔を綻ばせた。




それが、俺が最初に見た真白の感情の変化だった。




おそらく本人は無意識だったのだろうが、自分の感情に戸惑い俯く真白を俺は優しい見つめた。






『ところで真白、』




そんな真白に俺は話を逸らすようにあの時、無理にでも助けられなかったことを謝った。




しかし真白はそんな俺を責めることなく、逆にお礼を言って深く頭を下げた。





俺は堪らず真白を抱き締めた。




傷に響かないように、その細く儚い体が壊れてしまわないように、優しく優しく包み込んだ。






ふと、腕に僅かな重みを感じて少し体を離す。




見ると、真白は細い体を俺の腕に預けて穏やかな寝息を立てていた。





『少し、無理をさせ過ぎたな。』






クスリ、と小さく笑って真白を寝かした後、俺も穏やかな眠りについた。