すると、その人物は空になった左手をピクッと動かすとばっと顔を上げて呆然と私を見た。 『?』 私が首をかしげると、男はホット息をついて、 「やっと起きたか…」 と言って私を優しく見つめた。 どこかで見たことがある、と思い出そうとしていると男は医者を呼ぶと言って出ていってしまった。 医者、という事はここは病院という所だろうか。 それにさっきの人・・・確か・・・ 子猫のふわふわな頭を撫でながら考えていると、部屋の扉が静かに開いてさっきの男とスラリと背の高い美人な女性が入ってきた。