再び声に意識を向けると、古びたマンションの間から聞こえてきて、ゆっくりとそこに足を進める。 「待て真白。」 龍二の止める声が聞こえたが、何故か焦燥感の沸く私は引き寄せられるように進む。 どんよりと重い雲のせいでいつもより暗くなっている路地裏に迷いなく入る。 少しずつ大きくなる声を頼りに奥まで進む。 そして角を曲がろうとすると、いつの間にか後ろに来ていた龍二に肩を掴まれた。 『あ、龍二・・・』 はっとして道しか見えていなかった視界が広がる。