主語のない話は私には全く理解出来ず、ただ龍二に引かれるまま屋上へ向かった。
ガチャン、と所々錆びた重そうな扉を銀司が開ける。
綺麗な青空とともに、風が吹き込んできて私の髪を揺らす。
「よぉ〜って冬樹はまた寝てるんかい。」
誰かに話し掛けながら出る銀司に続いて私たちも屋上へ出る。
「・・・取り敢えず座れ。」
屋上にはレジャーシートが敷いてあり、意外と汚れを気にするんだな、と思いながらルナを手招いて座った。
「銀司、冬樹起こせ。」
「はいよ。
冬樹、起きろ〜。おーい。」
初めは呼びかけて起こそうとしていた銀司だが、起きる気配のない男の人に痺れを切らしたのか、口調が荒くなっていった。
「おい、起きろっつってんだろ。」
銀司は冬樹と呼ばれた男の人をバシバシと叩き起こす。
そこでようやく男の人の目が開いた。
