全てをくれたあなたに


「斎藤、挨拶だ。・・・一応そいつもな。」




『はい。斎藤真白です。この子は黒猫のルナと言います。いい子なのでぜひ仲良くしてあげてください。』






「よし、じゃあ斎藤の席は榊の隣だな。」




龍二の席は一番後ろの窓から2列目。
私の席は一番後ろの窓側になる。




一哉が私の席を教えた途端、濃い化粧の女達が一斉に私を睨んだ。





『っ、』





その視線が幼い頃から向けられてきた視線と重なり、息が詰まる。





――グルル・・・





伏せていたルナが起き上がって牙を剥く。






――ヒッ





どこからともなく怯える声が小さく聞こえた。





『ルナ、大丈夫。行こう。』





私の言葉でルナは牙を剥くのを止め、私の出した手に顔をこすりつけた。





そして龍二の隣に行くと、





「ククッ、女どもの視線も男のねちっこい視線も全部蹴散らすとは流石ルナだな。」




と言って笑った。