全てをくれたあなたに


――コンコン




「龍二です。」




ガチャ、と高級そうな扉を開いて中に入る。





「おぉ、君が真白ちゃんか?」




『はい。真白と言います。
ルナまで特別に許可して頂き、ありがとうございます。』





ぺこりと頭を下げる。





「龍二の連れてきた子となれば、信用できるからね。
私は五十嵐弦(げん)。よろしくね。」





『よろしくおねがいします。』






「ところで、苗字はどうするんだい?」






「あぁ、斎藤だ。
真白がこの間髪を切ってもらった桃の旧姓が斎藤だから貸してもらった。」





「分かった、斎藤だね。
・・・そろそろHRの始まる時間だ。
教室前に壱哉を待たせてあるから遅れないようにな。」




「あぁ。」




『失礼しました。』





理事長室を出ると、銀司がいなくなっていることに気づいた。