『・・・これは?』
「ブラシは私の旦那が経営してる会社で作ったの。静電気を除去してくれるし、とかしてる時に髪の毛が痛まないような構造になってるの。
で、これはトリートメント。
今のままでもすっごい綺麗だけど、一気に短くしたようなものだから、一応ケアに、と思ってね。」
私は手元のクリアな薄ピンクのブラシとオレンジの容器をまじまじと見た。
『ありがとうございます。』
微笑んでお礼をいうと、桃は目をキラキラさせて抱きついてきた。
「何でこんなに可愛いの!
もう、今すぐ犯したい!」
私と同じくらいの身長なので、夏希のように窒息する心配はない。
「あんたそんな事言ったらうちの龍二に殺されるわよ?」
「えっ龍二さん?もしかして・・・」
「そのもしかしてよ?あの龍二が、溺愛してるのよ?今でも信じられないわ。」
『・・・溺、愛?』
その言葉に何故かツキン、と胸が傷んだ。
しかし私のポツリと呟いた言葉に盛り上がっているふたりは気付かず、しばらく話した後、また今度、と言って店を出た。
屋敷に戻ると何故か玄関に龍二と銀司がいて、紙袋をガサガサといじっていた。
