全てをくれたあなたに


「むぅ、そんなに振ってないもん。
よし、真白ちゃん、髪の毛切るからこっちにおいで!」





『はい。』





促されて椅子に座る。






「どんな髪型がいいとかある?」




『・・・特に無いです。』





「分かった、じゃあ私の思うままに切っちゃうね!」





そう言ってシャキシャキとハサミを動かしていく。




私は目をつぶって終わるのを待った。






「・・・よし、出来たよ!」




桃の声にまぶたを上げて目の前の鏡を見る。




長さは腰までと長いものの綺麗に切りそろえられ、どこからか分からなかった前髪は目の上で切りそろえられていた。





『わぁ・・・』





以前より視界が広くなり、軽くなった頭に心まで軽くなったようだった。





「気に入った?真白ちゃん可愛いからシンプルな髪型にしてみたの。」




それとこれ、と差し出されたのはブラシと1つの容器だった。