白いリネンのシーツに口を塞がれて
くぐもった声で答える。
なんだか泣きそうな声に似ている。

境本が内側を吐き出すのとは違って、
外側が剥がれ落ちていくみたいだ。
届かないようにしていた
些細な毒にも敏感になるように。

境本の手が髪をなでている。

「…俺はね、境本が死ぬ気なら止めないはずだったんだ。だって約束したから。境本のこと殺して、一緒に死ぬって。」

「うん…」

「そしたら境本の中で俺がずっと特別になれるってわかってたからね。なのに、君のこと、助けちゃったみたいだ。
あの時、落ちてるカッターが境本のやつだって気付いてから、階段をかけあがりながら、すごく怖かったんだ。境本が死ぬかもしれなくて怖いと思った。」