「…だって、生きててもしょうがないじゃん!私、何もできないもんっ!!何年生きたって変わらないよ!
働くために食べて食べるために働いて、結局何にも為さずに、何にも残せずに死ぬんだもの。…今死んだ方が、潔いでしょ?」

「それが君の本当の理由なんでしょ?そうやって後付けの言い訳ばかりで、自分のことを信じられない、情けない理由を隠してる。君が死ねないのはそのせいだ。
自分だけが清らかなふりして、全部偽善だってわかっていながら、自分の弱さを守ってる。」

「黙って、松本!分かってるもん!!」

「俺はね、その境本の我が身かわいさの嘘とか、卑怯な言い訳とか理解してるつもりだよ。全部ひっくるめて境本を好きだから」

「ダメだよ…っ。私は人間嫌いだから死にたいんだもの。松本を好きになったら」

「死にたい理由を保てないんでしょ?でもそれは君の死にたい理由が言い訳だからだ。君が本当に死にたいのは、」

「やめてよ…っ!言わないで。頭が痛い。頭が痛いの………っ」

「貧血持ちなのに首なんかしめたせいだよ。大きい声ださないで、少し休ん  が いね。」

声が急速に遠のいた。
頭痛が勢いをまして
脳みそが酸素不足を主張する。
松本の声が耳鳴りにかき消されていく。

「… 本?さ   っ!」