「…ま、けほっ…松本」

「君が、死ぬかと思った」

「…死のうと、したんだよ」

首がヒリヒリすると思って
さわると指先に少しだけ血がついた。
締め付けられていた分だけ
皮膚に段差が出来ている。

「ごめんね、カッターで急いで切ったから、少し首に傷つけちゃったみたい。」

松本はそう言って
私の首もとに顔を埋める。
温かい生肉みたいな感触が
首を伝った。

「……死ねると、思ったのに。今度こそ、終われると思ったのに。」

目頭が熱くなって涙が溢れてくる。
血液が急速に流れて熱い。
頭痛が勢いを増す。

「…でも、死なないで良かったって、安心もしてるでしょ?俺が戻ってくるって思ってたでしょ?」

「そんっ…」

「だって思わせ振りだったもんね。またねって言ったのにバイバイって返したり、いつもと違う駅から帰るから現地解散なんて、普段と違いすぎて疑って下さいって言ってるようなものだもんね?」